グループの研究内容

本研究グループでは「飛躍的に優れた特性やこれまでにない機能を持った材料は、新しい化合物の出現によって実現される。」という考えの基に、新しい無機化合物を探査し、そのキャラクタリゼーションを行い、新しい材料を開発することを目標に研究を行っています。新しい無機化合物の探査には、雰囲気制御下での合成、水熱反応およびソフト化学的手法などの合成方法を用いています。

 

主な研究テーマ

(1) 低原子価を持つ遷移金属酸化物の合成と結晶構造の決定

 還元あるいは酸化性雰囲気下での焼成反応により、ニオブなどの遷移金属の原子価を制御した化合物を合成し、その結晶構造および物性を調べています。

(2) 水熱条件下における合成

 比較的低温での水熱反応では、出発物質の持つ構造や特異な原子価を残して新しい化合物へと変化したり、あるいは無機および有機成分を構成要素とする化合物の合成が可能で、高原子価ビスマス酸化物や多孔体の合成を試みています。

(3) ソフト化学的手法による合成

 イオン交換反応やインターカレーションのように比較的穏やかな条件下で行なわれ、出発相と生成相の間にトポタクティックな関係が存在する反応のことをソフト化学と呼んでいます。このような反応を利用して構造や性質を制御した新しい無機化合物の合成を試みています。

(4) 無機-有機複合多孔体の合成

 有機物である界面活性剤を利用して、無機-有機複合多孔体を合成しています。界面活性剤は非常に興味深い形状でミセル化するので、それを鋳型とすることで複合体が作製されます。無機物に、有機物特有の性質を付与できるために新しい多孔体の合成方法として注目されています。現在のところ、主に特異吸着選択性を付与することを試みています。